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丸背

久し振りに製本教室に行きました。
細い絹糸でのかがりにつまづいて、何度トライしても糸がこんがらかってしまい先に進まぬ状況になったので、ひとまずスルーさせて頂き「先の工程」にジャンプすることになりました。
今回やりましたのは上製本の「丸背」の制作です。
特製の金槌(叩く面に丸みをだしてあり、頭も利き手の人差し指を絡められるように削られたもの)を使い、糸で綴じられた背の部分を根気づよく叩きながら4分の1円状に作り上げて行くのであります。
では段取りを記します。
1. 糸で縫い綴じた背部分に平にボンドを塗り、そのボンドを和篦で平にこすりつけ折丁の間を潰
  して行きます。言葉で言うのは簡単ですが、実際は左手で綴じられた本文が動かぬ様にがっち
  り押さえ付けながら、右手でこれまた目一杯の力を平に集めてボンドを塗り込んで行くので終
  ると両手が筋肉痛になるくらいの激しさです。目安として「束」の寸法に「束+束の25%」の
  厚みになるようボンドで塗りながら広げて行くのです。この寸法は大切で丸背を作る時の形の
  良い耳出しに繋がります。
2. 上の状態になってから金槌で根気強く叩き丸味をだしていきます。まず、ざっと丸味をだす。
3. 次に「耳」を出す約2mm分を平に出すように一種の万力のような道具にがっちり銜えます。
4. それからが大変です。背の中心か表裏の両側に根気よく叩いて滑らかな丸みを作ります。
  腕を横振りして、金槌の面をこするように叩くのです。強からず弱からず。横振りの練習を
  してくださいと言われ、何分かは素振りしました。

この作業だけは「凄いですね、上手ですね。大山さんはかなりうまいと思います」って先生に褒められました。この先生はお世辞を言わない方なので、わたくしもその気になって気分が良くなってきました。まあ、○○もおだてりゃ木に登る、の口かもしれませんが・・・。日ごろのゴルフの練習の成果がこんなところであらわれたのかも・・・。何でも役にたつことがあるんだな〜。
  うわ〜綺麗ですね。よく出来ています。普通の方はここで三週間くらいかかるのですよ。
って先生に言われたところで時間となりました。
  大山さん、音がぜんぜんちがっていましたよ〜
というのは、同じく手作り製本を学んでいる仲間のおひとり。実は現在のメンバーではわたくしが一番の先輩で、この方は後輩なのですが、もうとうに追い越されているのです・・・。

ということで、嬉しい時間となりました。
たまにはこういうこともありませんと生きて行くのも辛くなりますものね。
みなさま、お世話になりました。

by t-ooyama | 2010-04-09 21:02 | Comments(0)

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