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酸漿

   さにづらふ少女ごころに酸漿の籠らふほどの悲しみを見し 斎藤茂吉(赤光)

斎藤茂吉の歌にはいつも驚かされます。そして、いつも新しさを覚えます。
この歌もまた、中に籠められたモノ、情念のようなものが独特の雰囲気でもやもやと纏わりついてくるのでした。その歌によって異なるのですが、何かこう言葉になり難い、ふしぎな何かに柔らかく包まれてしまうような気持になります。
来年の冬雷の表紙絵はこの歌をテーマとしています。
うっすらと赤い袋を透かして、中がほんのり見えるように感じる美しい酸漿が繊細なタッチで描かれている、本当に素晴しい作品ですよ。
嶋田正之画伯が一年かけて構想をねっての作品でありますよ。
どうぞ、ご期待下さい。

短歌工房では、冬雷十二月号の仕事で追われています。
くれないの薔薇から葡萄へ。そして白桃へ。
新年号からは酸漿へ。
素敵なリレーが行なわれ行きます。

by t-ooyama | 2012-11-04 18:42 | Comments(0)

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