毛呂山、沢田の「太子堂」

現在冬雷ホームページにアップ中の10月号は、小川照子歌集『柊の家』の批評特集号である。
お陰さまで立派な特集が組めて御礼申し上げたい。著者は、どちらかというと地方在住で地味な方で、多くの会員の皆様に馴染みのうすい面がありましたが、今回の文庫歌集は、それだけインパクとがあったということか。お人柄の出た人間味溢れる歌集である。

ドライブがてらに、十月号を直接お届けすることになった。
いつ行っても、小川さんの家の周りは花いっぱいで、今は盛りを過ぎかけた日日草と、盛りの紅白のコスモスが迎えてくれる。歌集の写真にもあった立派な門を潜っての玄関前には、繊細な風を捉えて微かにそよぐ「風知草」の柔らかい緑が大きな鉢に広がっている。
昨年九月号に出した拙作、

  柊                 

赤十字奉仕団支部長等つとめ続け庭には折折の花を絶やさず

花や樹の並び立つなかに目をひくは小川さん丹精の槙みどりの樹勢

どつしりと立つ老幹にふるひつく如く抱けど抱へきれなく

小川家に大切にさるる柊のすべすべの葉は樹齢の重み

見あぐれどひたすら高く且つ深く且つ濃きみどりこの柊は

焼け落ちし母屋の炎を浴びし日の傷みより柊も立ち直りけむ


を思い出した。

笑顔で現れた小川さんは、本当に驚いた、たくさん書いて下さったみなさまに御礼でいっぱいです、と仰有る。
このブログを通じて、執筆の諸氏に小川さんのお気持ちを伝えたいと思ってこの記事を書いた。

せっかく行ったので、前に行った時に見られなかった鎌倉幕府と一緒に建立されたという「太子堂」を見せてもらうことにした。やはり、あまりに立派な太子像であり、盗難の危険もあるということで、今は堂内に祀られては居ない。
太子堂は家の裏の方にある小川家の墓地の隣にある。小さな用水路を越えて行くのだが、道路から見ると「何だろうこの建物は」という感じに目に飛び込んで来る大きさだった。
この地では、「沢田の太子堂」という名で親しまれているようだった。

c0216213_09453965.jpg
c0216213_09455076.jpg
c0216213_09455610.jpg

太子堂は格子に作る扉が鎖とカギで閉じられているが、その隙間から中を撮影してみた。
太子像を安置する小さな建物だけは置かれている。これも極彩色の美しい本格的なもの。
横に見える木造の家状の箱は「御釈迦様」を安置する場所だったと言う。
床板には埃が溜まっている感じだが、江戸時代や明治では、この中に畳を入れ、句会や茶会も行われたという記録がある。
古い色紙や掛軸等も残されている。かなり広めである。

外から眺めた建物は今風に修理されているし、新しい材木で作り直されているが、土台石は鎌倉の世のままであるという。
時代の感じられる石の風格が匂い、土台石に接する材木も、かなり古そうなものが見える。こうした材木は当初のものを手入れして、再利用されているのだろう。
写真を入れたので、ご覧あれ。

とても暖かな一日であった。

[PR]

by t-ooyama | 2017-09-30 09:47 | Comments(0)

<< 「埼玉歌人」96号 すてきなブログです >>