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『眼底紀行』の一首

校正が頑張って下さったので、すぐに12月号初校が舞い戻ってくるとのこと。いま待機中である。
 
岡井隆歌集『土地よ痛みを負え』は実に懐かしい一冊であった。
実はもう一つ岡井氏の一首が記された歌集を保有している。
こちらは当時(1967年)出版された歌集『眼底紀行』で、一部購入させて頂いたら見返しにご自分で選ばれた一首を書いて下さった。この歌集も又刺激的な装幀である。黄、オレンジ、ピンクの三色が縦の帯状にデザインされ、広い黄の面に「岡井隆歌集」と大型活字で記し、続くオレンジの細めの帯の上に「眼底紀行」と同サイズの活字で印刷されている「箱」が付いて居る。背の部分は、ブラックのベタに文字の白抜きである。派手な配色だなって感じた。中身はA5判やや縦長の変形判フランス装で、白地に紺の一色刷り。きっちりとパラフィン紙が巻かれている。見返しはエンボス加工の黄土色で、扉は強烈なオレンジのベタに、小口側15mm程度の幅に鮮やかなピンクの配色。白抜きで「岡井隆歌集』『眼底紀行」と2行で記されている。

歌はいつもの通りのサインペンによるもの。作品は次の一首。

  目ざめゆく樹よ
  昔吾れ敗れたる田園
  に佇ち若葉したりき

である。
美しい字だ。

箱の方もスキャンしてみた。
さすがに45年以上も前の本なので、悲しいくらい傷んでしまった。わたくしも数え切れないくらい住まいを移転して、その都度、梱包して運んだので仕方がない。
変形判というのは、どうも本棚に納まらないので、隣りの書物の影なども出たり色褪せたりで、申し訳ない状態である。でも、大切にして来た気持は事実なので、こちらも合わせてご紹介する。

文学の香り高い一巻である。
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by t-ooyama | 2014-11-04 19:27 | Comments(0)

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