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訃報です

ちょっと日が差せば暑いし、かげれば寒くて暖房が必要という此の頃です。
また悲しいお知らせです。

古い会員のお一人の荒木米子様が逝去されました。
荒木様は、昭和13年生れで、お茶の水女子大在学中に「慢性間接リウマチ」を発症し、その後ずっと闘病の生活を送られました。昭和44年に冬雷に入会し木島茂夫に師事、第一歌集『友にゐる風景』(1991年)を上梓しました。
荒木様を冬雷に紹介したのは島根多磨子です。島根とはご病気を介しての交流があったようですが、島根と云えば、湘南サナトリウム時代の滝澤亘の門弟です。滝澤は歌集『白鳥の歌』を出版して木島と交流が始まった歌人で、第二歌集『断腸歌集』を出版後「壮絶な喀血死」をとげます。
その弟子であった島根は、滝澤の死を木島に報告すると同時に冬雷に入会しました。

荒木様には、冬雷短歌会文庫として二つの歌集も上梓しています。
下の『多摩の歌』と『平山四丁目集』です。

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『多摩の歌』は2009年8月。『平山四丁目集』は2014年7月の刊です。
『多摩の歌』の表紙画はご自身のもので、『平山四丁目集』の表紙画は近藤未希子様の作でした。

    己が事のやうに私の行く末を案じ下さる人々とゐる
    自立生活せんとアパートを探し歩く介助の人と雪降る中を

    それぞれの個性を見せて介助者は手助け呉るる吾の自立を
    抱へたるパンの匂ひをかぎながら幸せなりと車椅子に帰る


前の二首は『多摩の歌』自選六首から。
後の二首は『平山四丁目集』自選六首からの作品。
わが事にように、そして、其々の個性を発揮しながら介助して下さる「人々とゐる」環境に感謝しつつ、
自立生活をひたすら求め、買い求めて来たささやかなパンの匂いに小さな幸いを見出した生き方でありました。
『平山四丁目集』刊行の時はすでに冬雷に新作を発表される事が無くなっていましたが、赤羽佳年氏の努力もあって歌集は進められました。そして二年余りが過ぎた昨日(11月4日)突然帰らぬ人となったわけです。享年78歳かと思います。合掌。

事務局からお通夜と告別式の連絡が入りました。以下の通り、

お通夜
 11月7日 (月曜日)午後6時から
  斎場  千の風 青梅斎場ちがせ
       青梅市千ヶ瀬 5-604-13
       ☎0120-997-541
告別式
 11月8日(火曜日)午前10時30分から 11時30分まで

最寄駅は 東青梅 だそうです。


大山はお通夜に最後のご挨拶に参る予定です。
冬雷の多摩支部の皆様がたくさんいらっしゃるかと思います。
作品は作らなかったようですが、毎月行われる「多摩支部歌会」には御出席であったと聞いています。
やはり短歌が大好きな生涯でしたね。

 

by t-ooyama | 2016-11-05 18:47 | Comments(0)

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