写真一様・短歌二首の2回目
by t-ooyama | 2020-01-16 22:01 | Comments(6)


雲の動きを、走る白雲、みだれて美しき朝のすじ雲と捉えて清々しい歌だと思います。


すじ雲の高さ、それを見上げる木。この木に作者の目線が重なるのですね。「北国に雪を見舞いて」にこの歌の持つ世界の広さを感じました。同じ空が続いているのにその下には雪深い地方、また一方で晴れわたる地方と。
ふたつの歌が生まれた時、その作者が見ていた風景。それを読者も共有することができる。そういう意味でもこの企画は素晴らしいですね。

二首目の上句の「北国に雪を見舞いて来るらむ」には、雪雲が雪を降り尽くして、作者の上空に至ったのだろうかという視点に詩的な面白さを感じました。
今年の東北は雪が少なくてありがたいのですが、夏の水不測の懸念の声も。春の画像と歌が待ち遠しく感じられます。

桂木のこずゑの枝が青空に掃き残したるさまの条雲
枝を広ぐ桂の上にたたずまひ乱して青き空の条雲
青空にひかりを纏ふすじ雲の移ろひ見ゆる桂木のうへ