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印象斬新「ヒムロ」

昨日受贈した雑誌「ヒムロ」は、75巻886号になる歴史の厚いアララギの赤彦系の誌で諏訪湖のほとりの茅野市から出ている。
実は小生はこの伝統誌を見るのが初めてで、正直想像を超えた斬新さで、また底知れないパワーを秘めているところが印象的であった。
代表の丸茂伊一先生もすでに九十歳を越えられていらっしゃるし、会員の皆様も多くは、やはり高齢化の進んでいるのだろうと推察するにせよ、なぜか誌面からは力が伝わってくる。
表紙絵は有名な赤彦の歌碑の写真で、万葉仮名による歌が印刷されてある。写真からでもよくわかると思う。
格調高い誌風が匂うようだ。

この雑誌は、歌壇でも非常に珍しいB5サイズの大型で、作品欄は26行二段組みであるに関わらず、使われる活字は誌面のサイズに比例して大きくなっており、とても読み易い。
さらに出詠者は全て作品5首に統一されている。これには自選と、選者選とに別れているようだが、この配列がなかなか美しいのである。
5首が少ないか多いかはともかく、全てがこの「5」だというのも揃えるには会員の作歌水準が問われるわけで、簡単では無い気がする。
新仮名遣い希望を示す「*」印は、圧倒的に少なく、さすがはアララギ系の伝統誌だと思わせる。
ちなみに小誌などは「☆」印の方が多いのではないかと思わせる昨今なので、とても感じ入った。
数多いアララギ系の他誌に比べ、明らかに生活感がみなぎる印象を持った。

「ヒムロ」の刊行またやつてゐるのと言はれたり黄泉なる妻の夢に出で来て  (丸茂伊一)
生協のカタログに今週も欠品か大人のマスク児らのマスクも  (大久保千鶴子)
遠き日に母の作りし和へものを恋ひつつ手籠にふきのたう拾ふ (橋本佳代子)
登山して初めて知りし蓼科山の石多き頂上思ふ日課の五千歩  (五味優子)
「買い物は現金払い」と言う吾に娘はペイペイとスマホをかざす*  (関 茂子)

本文24ページながら、大型誌面なのでゆったり感がある。
頑張って頂き、アララギ系雑誌を引っ張って行って貰いたいものだと思う。
表紙の写真を下に貼り付ける。

印象斬新「ヒムロ」_c0216213_11122606.jpg

by t-ooyama | 2020-06-07 11:14 | Comments(0)

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