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訃報です (追記12月6日)

一月号の下版作業の中で、電話が入り訃報です。

古参会員のお一人である小川照子さんが125日の1521分に逝去されました。享年九十歳でした。

先月30日にクモ膜下出血にて倒れ即入院されておりましたが、回復に至りませんでした。

ご子息より連絡を頂きました。

謹んでご冥福をお祈りさせて頂きます。コロナ禍のことで、身近な方のみの通夜と告別式となる見込みのようですが、

きたる128日に通夜、翌日告別式の予定です。

小生は日頃からのお付き合いが濃いので、通夜の日の一般洗米(出雲伊波比神社にての神道儀式)は18時からですが、

その前に最後のお別れに参る所存です。

通夜会場は下記です。

毛呂山法要殿

入間郡毛呂山町岩井西3−5−3

049-294-4151


となります。

小川照子さんは昭和6年8月生まれ、同56年3月の入会で、四年前に歌集『柊の家』を上梓しております。


小川さんからは2月号分までの投稿歌が届いており、

次号が最後の作品掲載となりそうです。


まずはご報告申し上げます。


〈追記〉

編集部は、来年刊行予定の「2021年版 作品年鑑・自選合同歌集」の準備も進めています。

作者別のテキスト資料はすでに出来ていますので、

小川照子さんの本年分の全作品を振り返ります。

歌集『柊の家』で見せたお人柄の滲み出る素朴な作品群です。

会うたびに「わたしは短歌を作っていて本当に良かった。感謝いっぱいです」

とおっしゃっていました。

そんな声が作品の陰から聞こえてきそうですね。


小川さん、長い間お疲れ様でした。

そして本当にお世話になりました。

有難うございました。

どうぞ、安らかにお眠りくださいませ。


小川照子 

庭畑で煙突立てて籾殻を燃やせば散歩の人が寄りくる

コスモスと百日草は花ざかり友の来て言ふ「毎日花見ね」

思ひがけず娘夫婦と秩父に来ぬ緑の中に点点の紅葉

コロナにて流鏑馬中止は寂しいが息子の乗りし写真みなで見る

嫁ぎ来て七十年すぎ初めての毛呂の流鏑馬中止となりぬ

自然とは嬉しきものよ柊のはな今年も咲きて裏庭飾る

槇と松の手入れ終りてわが仕事今年も出来たと枝ぶりを見る


掘り来たる里いも煮ればつるつると咽越しよろし姑好きだつた

三日月が半月となり明るくす夜毎に出でて月を眺むる

コロナ禍でも「ゆずっこ体操」休みなくマスクを付けて皆集まりぬ

週一度逢ふが楽しみ一時間過ぎるとさつと皆帰り行く

柚子の実はみどりの中に黄の色に冬至をめざし色増して来る


吾が小さき頃には牛にて農作業今は機械化昔を想ふ

家の中に牛小屋ありて餌をやる家族同様の生活なりき

「冬雷」の二〇二一年の表紙絵は紫陽花われにも思ひ出の花

入院中の兄に紫陽花持ち行きて水切りしたることの思はる

コロナ禍の何時まで続く外出は我慢自粛して電話で話す

孫裕貴元日は仕事と帰り行く一日早く元旦祝ふ

元気出して仕事してゐる孫たちを思へば吾も頑張りの湧く

友の言ふ夫の介護も身につきて笑ひて介護してゐる日々と


隣の人訪ね来たりて年毎に飾るまゆ玉を見てよろこびぬ

わが家では当たり前ながら此れをしないと一年が始まらぬやうに思へり

欅の細き枝先にありたる小鳥の巣北風強く地面に落ちぬ

しつかりと作られてゐて欅の木より落下しても鳥の巣は壊れざり

コロナ禍の終息ののち逢へるよと友よりの電話の声は明るく


漸くに雨降り空気しつとりす傘さして回覧板隣に回す

庭先の梅の蕾の膨らみて雨の滴の並びて光る

日溜りに小さく芽を出す福寿草春の知らせの音しのばせて

コロコロと青大豆炒る節分に神に供へて息子が豆をまく

庭先の臘梅の葉は散り尽きてゐたるに黄の花寒空に咲く


梅の花咲けば鳥たち数多来て花の蜜吸ふ花から花へ

年々の繰り返しなれど雨水の日ひひなを飾るわが家の行事

姉の雛姑の内裏雛孫沙織の七段雛にて座敷にぎやか

歳重ね雛の姿は同じなり明治の姑の内裏さま美し

家に咲く桃の花をも切りて挿すつるしびな二つ並べてつるす


春彼岸草の多くて墓掃除息子夫婦と一緒に行きぬ

暖冬は花の季節をかへ行くか早く咲き出すヒガンザクラは

突然に息子手首を骨折す左で良かつたとパソコン打ちゐる

水道の工事のために娘の家に一晩泊るお客となりて

庭畑で元奉仕団の方と逢ふ元気な姿を互ひに喜ぶ

暖冬でわが家の周りは花ざかりさくら桃水仙毎日花見


弟は養子に行く前半年間我が家にくらしき家族同様に

毛呂の家はわが実家だと弟言ふ忘れないと亡き姑のことも

亡き姑も自分の家だと思つてとやさしく言ひをりき我が弟に

雨降りて一気に芽を出す百日草庭に出で来てじつと見守る

子の骨折回復早く週二回のリハビリ大事と一人で行きぬ

梅の実の日毎育ちて枝を垂る漬けるを楽しみ枝に支へす


コロナ禍の今年も飾るお釈迦様嫁ぎ来て七十年一度も休まず

妻逝きて二年過ぎたる次男なり母の日に遅れたと果物持ち来る

軒先にコスモス低く群れのびて秋を待たずに五月に咲きぬ

歳重ね冬雷あるは倖せなり歌を作ること皆に感謝す

裏の田の田植ゑが終り水満ちて白鷺数羽餌拾ひゐる


門の辺の芝ざくらの草を取りをれば中村玲子さんのこと思ひ出す

自転車にて来ては草取りをしてくれし玲子さんの姿目に残りゐる

週一度の「ゆずっこ体操」楽しみに来れば参加する仲間も多し

目のあひて挨拶交す初めての人でも自然と笑顔となりて

体操を広場ですれば気持よし幼にかへるやうに元気に


息子言ふ手首の骨折はもう大丈夫まだ若いので治りも早いと

田のそばに今年も植ゑしひまはりを散歩の人は足止めて見る

梅の木の下のどくだみ雨あがり抜けばかるがる抜ける白き根

一年はたちまちすぎて盆となり新竹切りて盆だな飾る

七年もデイサービスに通ひゐる友の娘言ふおかげ様でと


出揃へる稲穂はかうべみなたれて風吹きくれば波打ち揺れる

田のへりに立てたる鳥の案山子なり風吹きくれば大きく羽搏く

田の周り糸張りゐるは鳥よけか色々ありぬ鳥とのたたかひ

コロナ禍に盆さへ人が集らず先祖も我慢をしてゐるだらう

何時になく多く咲きたる白百合を切りて仏に一杯供ふ

友よりの電話の声は明るくて人間我慢も大事と言ひぬ







by t-ooyama | 2021-12-05 23:22 | Comments(0)

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