このたび、第25回島木赤彦文学賞をいただくことになり、その対応とかを考えまして、決まっている十月十五日の島木赤彦研究会の総会の日のことなど思い、お礼の講演のことなどもあるのでちょっと忙しかったです。選者のお二人とも相談しつつ、当日までに日数も迫っていますが、できることをして準備することになり、急展開で、受賞記念として「冊子を作る」という冊子を制作することになりました。「冬雷」が結社雑誌でありながら、同賞の対象となったことを思うに、わたしはわたしたちの進めてきた印刷用データの編集室での内製化がご評価を受けたとしか思えず、この点を掻い摘んでお話ししてみるのが良いとなりました。
そこで、資料としてデータ内製化する簡単なハウツーなどをコンパクトに纏めた冊子を、実際に制作する工程などをシンプルに解説、展開しつつ作るのが、そのままズバリの『冊子を作る』となります。と言っても、そんなに詳細な内容など素人の我々に望めるまでもないので、本当に表面を撫でるだけのような初歩の初歩のハウツーものです。
しかし、本文の中で説明しつつ作っているページが、実際にこの『冊子を作る』で付録として収録する「島木赤彦掌論」(大山敏夫執筆)なので、極めて珍しいとは言えます。加えて冊子としては、編集ソフトを使って組版作業をする手順を述べた部分は横組みの左綴じとなっているのに、付録で付けるものは縦組みの右綴じということで、これもまた珍しい冊子となります。
表紙は表も裏もそれぞれの左綴じ、右綴じの表紙となって包み状に冊子を開いて読む仕組みです。これもちょっとみられない作り方ですね。
下にその表紙を見開きにて配置した画像を貼りますので、ご覧ください。
サイズは冬雷と同じA5です。
表紙部分 4ページ。
本文 28ページ。
墨1色で刷る簡単な冊子です。
画像がたくさん入っているのでかなり重いデータ量となりました。
画像が綺麗に再現されるように厚めのコート系で印刷します。
限られたスペースに詰め込んで画像と文を無駄なく配置せねばならず、選者三名で相談しつつ、校正しつつ、訂正、改良を加えてほぼ良さそうなところまで来ました。
欲を言えばキリありませんし、最上のものを作りたいのですが、何しろ後ろが迫っており、十分に吟味しチェックしている余裕もありません。
極めて短日のうちに草案、相談、取り掛かり、チェック、訂正しつつ再構成などしつつ完成を目指し、ようやく「まあ良いでしょう」となりました。
出来は来月十日辺りになり、十五日の会場には持参できそうです。
小誌の進めて来た雑誌の印刷用データの内製化のノウハウ満載の非常に興味深い内容かもしれません。
付録の「島木赤彦掌論」(大山敏夫執筆)も含めて、赤彦がアララギの再建をうけおって奮闘し、そして著しい成果をあげた晩年を思えば、小誌がその赤彦の名を冠にする文学賞というのも相応しいとも言えますね。
どうぞ、お楽しみに。